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北海道に生まれた民間宇宙開発企業カムイスペースワークス。 略して「CSW」 ブログはこちらに引越しました。
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論文捏造(再掲、永田)
  知り合いの番宣を兼ねて過去記事を再掲します。NHKのBSハイビジョンで「BSベストオブベスト」という企画が行われており、これまでBSで放送されてきた名作を選りすぐって再放送しているのだそうです。その一つとして、12/26(日)深夜0:30〜2:00頃(日付では27日)に、「史上空前の論文捏造」が放送予定とのことです。この番組には50分バージョンと90分バージョンがあるのだそうで、今回再放送されるのは90分バージョンの方だそうです。

 というわけで、この番組に関連した過去記事を2件サルベージします。「論文捏造」も「大本営参謀の情報戦記」も大学の僕の部屋の前に置いてありますので、読みたい人は横に置いてある貸出簿に記名して持って行ってください。


論文捏造(永田) |  2007/05/11 12:48

 先月発売された週刊現代で、NHKの「ためしてガッテン」で捏造が行われたと報じられました。NHK側が週刊現代に抗議し、対して週刊現代から反論が無いという状況のようですが、僕は報道の当初から週刊現代の誤報だと確信しています。この番組が捏造をする筈が無いからです。どうしてそう断言できるのかというと、「ためしてガッテン」は大学の後輩が担当していて、彼は「論文捏造」の著者でもあり、他の誰よりも捏造行為を問題視してきたディレクターだからです。
 
 その彼、村松 秀(むらまつ しゅう)氏ですが、科学ジャーナリスト大賞を受賞したというニュースが飛び込んできました。この場を借りてお祝い申し上げます。この賞に値する素晴らしい仕事だったと思います。こういう仕事をしてくれる科学ジャーナリストを、我が国はもっと必要としています。理系からマスコミに飛び込む人がもう少し増えてもいいんじゃないかなと思います。
 
 先日、彼とメールのやり取りをしていて話題になったのですが、科学雑誌に掲載されることの意味について、僕たち研究者と一般の皆様との間にはギャップが有るように思います。僕も論文の査読をする立場になることが多いですが、査読者には論文の捏造をチェックする義務は無いと思っています。雑誌の編集委員会にもその義務は無いと思っています。では僕は何に注意をして査読をしているのかというと、データの解釈に誤りが無いかということと、追試験が可能なだけの情報が与えられているかということです。捏造の有無のチェックは、雑誌に掲載された後に、世界中で行われるのです。ところが世間的な常識では、捏造の有無のチェックは雑誌に掲載される前に行われていると信じられています。「雑誌に掲載されたのだからそれは事実だ」というのが世間一般の常識なのですが、研究者の世界では、「雑誌に掲載されたのだから評価(捏造の有無のチェックを含む)が世界中で可能になった」という受け止め方が常識なのです。雑誌の権威は科学的真実の保証に関与しない、というのは、科学的真実を無上の価値とする研究者コミュニティのモラルでもあります。
 
 「論文捏造」ではベル研究所を舞台に行われた史上最大規模の論文捏造事件を扱っていますが、その中で指摘されている編集委員会側の問題は、世界中から追試に関する問題を指摘されているにも関わらず続報を掲載し続けたことで、捏造を見抜けなかったことではありません。編集委員会が、「追試や評価が可能な状況を保証する」という責任を怠ったところに問題があるんだろうと思います。という点で、その時のやり取りでは意見の一致に到りました。
 
実は来週、彼の講演会が札幌で予定されています。数年振りに会える予定で、今から楽しみにしています。


わからなさ(永田) |     2007/05/18 07:26

 昨日は村松秀氏の講演会でした。16:30からの一般講演と18:30からのCoSTEPセミナーを合わせて、3時間以上彼の講演を聞いていたことになりますが、あっという間に過ぎた時間でした。
 
 何度も出てきたキーワードが、「わからなさ」でした。彼が制作に関わった番組は科学番組からスポーツ(ラグビー日本代表等)や芸術(迷宮美術館等)まで幅広いのですが、一見無関係に見えるこれらの番組には製作者なりの通奏低音が有って、それが「わからなさとどう向き合うか」ということなんだそうです。詳しくは前回もリンクしたこちらの記事をご参照ください。
 
 日本人はわからなさと向き合うのが苦手だ、という指摘が有りました。わからない部分が残ったまま判断を迫られるとパニックに陥る、というような意味で僕は理解しています。実はサッカーやラグビー等の集団球技では、選手は次々とこのような判断を迫られます。特に最後の得点の場面がそうです。サッカー日本代表の得点力不足には根深いものが有ります。
 
 教養課程から航空学科に進学してすぐに受けた授業で印象深いものがあります。こんな話でした。航空機の不具合は大規模な死亡事故に繋がりやすいので、品質管理が特に重要だ。1/10の不具合率を1/100に落とすのは簡単にできる。1/1000に落とすのは多少のお金がかかる。1/10000に落とすにはもっと費用が必要だ。一方、事故の発生はメーカーの損失でもある。だから品質管理はメーカーにとって負担だけれども、一方で損失を避けるという利益をもたらす。そこには最適値が存在する。その最適値で品質管理をすべきというのが米国流の考え方だ。僕はこれは悪魔の設計だと思う。航空機の品質管理に最適値なんて無い。君たちは絶対にこういう設計をしてはいけない。
 
 当時は当時なりの感銘を受けた講義でしたが(20年以上過ぎた今でも覚えているくらいですからね)、今思い返してみると、わからなさ(リスク)を冷徹に管理するアングロサクソンの凄みを感じます。品質管理に対する日本人の考え方は穢れを嫌う大和心に通じており、日本品質が世界を制覇する原動力になりました。品質管理に対する日本と米国のモラルの違いは優劣で語れるものではないと思いますが、わからなさを冷徹に管理する能力にかけてはアングロサクソンに一日の長が有るように思います。
 
 断片的な情報の中で次々と判断を迫られるという状況は、戦争での情報戦においても起こります。太平洋戦争後期に大本営の情報参謀として活躍した堀栄三氏による「大本営参謀の情報戦記」という本が有ります。断片的な情報を線で結び、判断するという作業は「わからなさ」との戦いでもあります。これも日本人が苦手とする作業の一つです。堀栄三氏は、当時米国が計画していた本土上陸作戦(オリンピック作戦)を、その時期(1945年11月)から上陸場所(大隈半島志布志湾)まで正確に予測し、そのあまりの正確さから戦後にスパイ容疑でGHQに連行されたほどの業績を挙げた方です。日本人として稀有な人物だったと思います。
 
 わからなさの話を複雑にしているもう一つの話として、わからなさを逆手に取って政治的な扇動を行う御用学者の問題があります。典型的なのはダイオキシン騒動とか劣化ウラン弾バッシングですね。日本ではイラクで使用された劣化ウラン弾が現地で白血病の悲劇を引き起こしているという信じ難い話が真実として流布するに至っています。腎機能障害を伴う白血病という症状は油田火災でばら撒かれたベンゼンにより引き起こされる中毒症状の一つで、また、白血病患者が集中している地域は、かつてフセイン政権によって化学兵器が大量に投下された地域と一致するにも関わらず、原因として白血病との因果関係を確認された例が皆無の劣化ウランを真っ先に挙げるのは不自然です。科学的真実を無上の価値とする研究者のモラルを捨てた御用学者は、もはや研究者ではないと思います。
 
 昨日は一次会が始まったのが21:00で、村松氏が二次会に連行されるのを見送ったのが24:00近くでした。その後いつまで盛り上がったのでしょうか。

| 社会一般 | 07:44 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
まずは永田先生にひとつ謝ることがあります
永田先生の言葉を私のブログで引用させていただきました
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/catcheye_99/view/20101222/1292999036
本来であれば事後承諾はいけないことでありますが以下ご確認の上、駄目であればご連絡をいただければと思います。

飛行機の計器のソリッドステート化。特にジェネラルアビエーションの世界では本当に進んでいません。
その割にはジェット機ではグラスコックピットは当たり前のように進んでいます。
仕事で飛んでいる機体は資金が潤沢だからじゃないんです
例えば機械式高度計は一個14万円します
それを二年に1度7万円以上の費用を出して検査を行います。
それに対してソリッドステート化を進めれば高度速度GPSまでつけても20万しないと思います。
けど、検査できるところがないんですよ・・・・。
また、「白タグ」といわれるお墨付きを発行する手段も確立されていないんです。
けどこれを誰も問題にしない。
航空機維持経費のネックになっているのに誰も改革しようとしない。

安全に対する「わからなさ」への対応が「やらない」担ってしまったのが寂しい限りです。

グライダーの設計を勉強するにつれ
飛行機の設計は「わからなさ」との戦いなんだなあと思いました。
性能のいいかっこいい機体はいくらでも「絵」としてはかけます
ただ、作れなかったら意味ないんですよね
できるだけ誰にでも作れて製作上の失敗が直接強度低下などの安全面に影響しない設計をするには、残念ながら先人の知恵の前例を踏襲するしかない。
そのためにはやっぱり勉強なんですよ。
航空力学の本に書いていない、図面や実物でしか語れない何かを機体や過去の設計事例から勉強するしかないんです。
けど、その前例を戦後日本は全部捨ててしまったんですよね。
だから「わからなさ」への対応が「やらない」になってしまったのだと思います。

もうひとつ
「わからなさ」の対応のひとつが会議だと思うんですよね
本来なら断片的情報を各人の知恵と経験で編んでわからなさに対して予測を立てて決していくのが会議の正しい姿と思うんですが
この会議
「会して議せず。議して決せず。決して行わず。行ってその責を取らず。」
といわれるじゃないですか
この辺が「日本人の」といっていいのかどうかなのですが問題点の現われのような気がしています。
| 高橋徹哉 | 2010/12/23 2:25 PM |
ブログ引用の件了解しました.引用頂きかえって有難うございます.勿論,問題無いです.

「わからなさ」との戦いは,結局は,リスク管理なんですよね.で,究極のリスク回避方法が「やらない」というのは,全く仰る通りです.

欧米は,リスクを他人にぶん投げるシステムを作るのが上手だなあ,と,いつも思います.Co. Ltd. なんてのはその典型です.リスクを株主にぶん投げるシステムですからね.デリバティブによるリスクヘッジも同じくです.リスク部分だけを債権化して売り捌くなんていう発想,日本人には出て来ないです.
| 永田 | 2010/12/24 3:51 PM |
承認ありがとうございます

運用側と設計側の最適値の話は「リスク」の切り売りと考えればよかったのですね
そうすれば航空部品のタイムアップなどは何でそうなのというところは合点がいきます
リスク回避を部品交換のお金で切り売りするイメージですよね。

それがいいことでもあり、(お金が回る、リスクが減る)
悪いところでもある(業者の既得権益から技術の停滞)

ということでもありますよね
| 高橋徹哉 | 2010/12/24 4:30 PM |
(調査ご協力お願いします。)
| 獨協医科大学 論文捏造・二重投稿 疑惑追及 | 2011/01/24 7:13 PM |









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